インプラントオーバーデンチャーとは|少ない本数で入れ歯を安定させる
[2026年09月28日]
総入れ歯が外れる、噛むと痛い。かといって、全部をインプラントにするのは費用も手術の負担も大きい——愛媛県今治市の中平歯科医院では、この二つのあいだで迷われている方から多くご相談をいただきます。
その中間にあたる方法があります。少ない本数のインプラントを埋め、その上に入れ歯を取り付けて固定する方法です。インプラントオーバーデンチャーと呼ばれます。
入れ歯の安定という悩みを、全部を固定式にせずに解決する考え方です。この記事では、仕組みと利点、そして向き不向きを整理します。
目次
- 入れ歯が外れるのは、支えるものがないから
- 少ない本数で、入れ歯を留める
- 固定式との違い
- 留め具は消耗品です
- 向いている方・向かない方
- 費用と期間について
- まず、今の入れ歯を見せてください
- まとめ|安定と、手入れのしやすさの折衷案です
1. 入れ歯が外れるのは、支えるものがないから
総入れ歯は、歯ぐきとの吸着と、あごの土手の形だけで維持されています。歯という支柱がないため、噛む力がかかると動きます。特に下あごは、土手が細く舌も動くため、上あごに比べて安定しにくいことが知られています。接着剤に頼らざるを得なくなるのは、この構造上の理由によります。
骨が痩せるほど、支えは失われます
長く入れ歯を使ってこられた方ほど、支えとなる土手が平らに近づいています。引っかかる場所がなくなれば、どれほど精密に作っても動きは避けられません。作り直しても改善しない場合、原因は入れ歯そのものではなく、支えの側にあります。
▲ 作り直しても解決しないのは、支えの側に原因があるためです
2. 少ない本数で、入れ歯を留める
この方法では、あごの骨に2本から4本程度のインプラントを埋め込みます。その上部に留め具を付け、入れ歯の内側にある受け側と結合させます。ボタンを留めるように、あるいはバーに引っ掛けるようにして固定します。留め方にはいくつかの種類があり、埋める本数やあごの形によって使い分けます。どの方式が適しているかは、検査のうえでご説明します。全部の歯をインプラントで支える方法に比べ、本数を大幅に減らせます。
取り外して洗えるという利点
固定式のインプラントと違い、ご自身で取り外せます。外して入れ歯を洗い、留め具の周りも直接磨けるため、清掃がしやすいのが大きな利点です。手先の動きに不安がある方や、ご家族が手入れを手伝う場合にも扱いやすい方法です。清掃が行き届くかどうかは、インプラントを長く保つうえで決定的に重要です。その意味で、外して洗えるという性質は見た目以上の価値があります。
▲ 埋める本数が少ないぶん、手術の負担も抑えられます
3. 固定式との違い
全部を固定式にする方法では、ご自身で外すことができません。より天然の歯に近い感覚が得られる一方、清掃には専用の道具が必要で、費用も高くなります。オーバーデンチャーは、安定という利点を得ながら、費用と手入れの負担を抑える折衷案だとお考えください。
どちらが優れているという話ではありません
求めるものによって適した方法は変わります。噛む感覚を最大限に求めるなら固定式、清掃のしやすさと費用を重視するならオーバーデンチャー、という整理になります。ご希望と、骨の状態、そして予算をうかがったうえで一緒に決めていきます。
▲ オーバーデンチャーは、両者の中間にあたる方法です
4. 留め具は消耗品です
入れ歯側の受け具は、着脱を繰り返すうちにゆるんできます。これは故障ではなく、想定された消耗です。ゆるんだまま使うと安定が落ちますので、定期的に交換します。交換自体は短時間で済みますが、継続的に費用がかかる点はあらかじめご承知おきください。
定期的な確認が前提の方法です
留め具の状態、入れ歯の当たり、そしてインプラント周囲の歯ぐきの状態。これらを定期的に確認する必要があります。入れっぱなしで済む方法ではありませんが、逆に言えば確認さえ続けていれば長く使っていただけます。
▲ 入れっぱなしで済む方法ではありません
5. 向いている方・向かない方
総入れ歯の安定に困っている方、特に下あごで外れやすい方には適していることが多い方法です。一方、噛む感覚を天然の歯に近づけたい方や、取り外す動作そのものが煩わしいという方には、固定式のほうが満足度が高くなります。
骨の条件は固定式より緩やかです
埋める本数が少なく、位置も比較的骨の残りやすい部分を選べるため、固定式が難しい方でも対応できる場合があります。とくに下あごでは、前歯のあたりに比較的しっかりした骨が残っていることが多く、そこを利用できます。他院で「骨が足りない」と言われた方にとって、現実的な選択肢になることがあります。
▲ 何を優先するかによって、適した方法は変わります
6. 費用と期間について
インプラントオーバーデンチャーは自由診療(保険適用外)です。費用は埋める本数と、入れ歯の材料によって変わります。全部を固定式にする場合と比べれば抑えられますが、保険の入れ歯とは大きく異なる金額になります。検査のうえで総額をお伝えします。
医療費控除の対象になります
インプラントにかかった費用は医療費控除の対象として扱われます。ご家族の分も合算できますので、領収書は保管しておいてください。当院の料金表のページでも内訳を公開しています。分割でのお支払いについてもご相談ください。
▲ 本数を減らせることが、費用面での利点になります
7. まず、今の入れ歯を見せてください
ご相談の際は、普段お使いの入れ歯をそのままお持ちください。どこが当たっているのか、どの方向に動くのか、どれくらい土手が痩せているのか。実物を見ることで分かることが多くあります。調整だけで改善する場合もあります。長く我慢して使ってこられた方が、当たりを整えるだけで楽になることは珍しくありません。
いきなりインプラントを勧めることはしません
まず調整や作り直しで対応できないかを検討します。それでも解決しない場合に、この方法をご提案します。順番を飛ばして高額な治療をお勧めすることはありません。ご不安な点は、その場で遠慮なくおたずねください。
▲ まず負担の小さい方法から順に検討します
まとめ|安定と、手入れのしやすさの折衷案です
総入れ歯が動くのは、支える歯という支柱がないためです。土手が痩せるほど引っかかりは失われ、作り直しても改善しないことがあります。原因が入れ歯そのものではなく支えの側にあるためです。
インプラントオーバーデンチャーは、2本から4本程度のインプラントを埋め、その留め具で入れ歯を固定する方法です。全部を固定式にする場合に比べて本数が少なく、手術の負担も費用も抑えられます。ご自身で取り外して洗えるため清掃がしやすく、骨の条件も固定式ほど厳しくありません。他院で難しいと言われた方の選択肢になることもあります。
一方、噛む感覚を天然の歯に近づけたい方には固定式のほうが向きます。また留め具は消耗品で、定期的な交換と確認が前提の方法です。自由診療(保険適用外)で、感じ方や経過には個人差があります。まずは今お使いの入れ歯をお持ちのうえ、ご相談にお越しください。愛媛県今治市の中平歯科医院までどうぞ。
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自由診療(保険適用外)に関する説明
治療内容:インプラントオーバーデンチャー。あごの骨に埋め込んだ2〜4本程度のインプラント体に留め具を設け、取り外し式の入れ歯を固定する自由診療の治療です。
費用:埋入するインプラントは1本あたり手術費26万円+連結部5万円が目安で、これに入れ歯の費用が加わります。本数と入れ歯の材料によって総額が変わります。CT撮影分析3万円、骨増生が必要な場合は1か所5万円〜20万円が別途かかります。詳細は料金表をご確認ください。
標準的な治療期間・回数:検査から入れ歯の装着まで、おおむね4か月〜8か月。来院回数の目安は8回前後です。骨の状態や追加の処置の有無によって変わります。
主なリスク・副作用
- 外科手術に伴い、術後に腫れ・内出血・痛みが生じることがあります
- 留め具は消耗品であり、定期的な交換と、そのつどの費用が必要になります
- 入れ歯側の受け具がゆるむと、安定が低下します
- インプラント周囲に炎症が起きると、支えを失うことがあります
- 下あごの神経に近い部位では、しびれが生じる可能性があります
- 喫煙・糖尿病・骨に関わる薬の服用は、治りに影響することが知られています
- 固定式に比べ、噛む感覚は入れ歯に近いものになります
出典・参考資料
- 公益社団法人 日本口腔インプラント学会
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会
- 国税庁 タックスアンサー「医療費控除の対象となる歯の治療費」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。本記事で扱う治療には自由診療(保険適用外)が含まれます。詳しくは歯科医師にご相談ください。
