IMPLANT OKUBA

奥歯を失った後の治療

歯には「咀嚼(噛む機能)」「発音」「お顔の維持」という3つの機能があります。

歯がないと息が漏れてしまい、「発音」が悪くなって人とのコミュニケーションが億劫になってしまう人もいます。
また、歯がなくなると、噛み合わせの高さが低くなったり、あごがやせてきたりしてお顔の印象が変わってきます。「お顔の印象を維持」するためにも、歯を失った後は早めに人工の歯を入れた方が良いのです。

その中でも特に、奥歯は「咀嚼=食べたものをすりつぶして飲み込み(嚥下)や消化を助ける」という働きをします。またお口全体の噛み合わせの基本となるのも奥歯です。そのため、奥歯を失うと食べ物が十分に噛みつぶせなかったり、食べたものの栄養が体にうまく届かなくなったりします。

また、なくなった歯のスペースを埋めようと歯が動き始め、今まで取れていたお口全体のバランスが崩れ、健康な歯まで悪くなることもあります。なくなった歯をそのままにしておくと、「噛む力が弱まる」「歯周病や虫歯にかかりやすくなる」「お顔の印象が変わる」といった変化が起こり、やがては体の健康にさえ影響を及ぼすこともあるのです。

奥歯を失ったときの3つの治療法

奥歯をなくしたときの治療法には
  • ブリッジ
  • 入れ歯
  • インプラント
の3種類があります。
それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
ブリッジ

名前の通り、失った歯の両隣にある歯を大きく削り、それを土台にして人工の歯を橋のように架ける治療を「ブリッジ」といいます。人工の歯をしっかりと固定するため、硬いものを噛んでも安定性があります。噛む力は、両隣の歯がしっかりと受け止めるので、自然な噛み心地になります。材質を選べば保険適用にもなり(部位や材質によっては自費診療になることも)、取り組みやすい治療です。

しかし、健康な歯を大きく削って土台とするために細菌に侵されやすく、なくなってしまった歯への力が土台の歯にかかり、負担が大きくなります。また、一番奥の歯が失われた場合は、ブリッジ治療を行うことができません。(※手前の2本の歯を土台にする「延長ブリッジ」という方法もあるのですが、土台の歯への負担がより大きくなるため、お勧めできません)

また、どんなに精巧に「ブリッジ」がつくられても、被せた人工の歯と土台の歯との間には目に見えない隙間がどうしてもできてしまい、そこから細菌が入って虫歯になる場合があります。また、使用するうちに人工歯と歯肉との間に隙間ができて、そこに食べかすが入り、歯周病や虫歯の原因になります。奥歯は、歯ブラシで磨きにくく、しかも歯間ブラシも入らないため、お口の中が不衛生になりやすい部分です。健康だった土台の歯に一気に悪条件が重なることになり、やがて悪くなって抜歯にいたるケースが多くなります。

入れ歯

残っている歯にバネをかけて人工の歯を補う治療法です。材質を選べば保険適用にもなり、どの位置の歯がなくなっても対応できます。また、取り外して磨くことができますから、メンテナンスも簡単で、気軽に取り組める治療法です。

「ブリッジ」のように健康な歯を大きく削ることはありませんが、バネで歯を締め付けるために違和感があり、しっかりと噛むことができなくなります。その他にも、ずれる、外れる、痛いなどといった不具合を訴える方も多くいらっしゃいます。さらに長年「入れ歯」を使用し続けると、あごの骨に噛む刺激が与えられないため、あごの骨がやせてくるという現象が起こります。

顔の土台となるあごの骨が痩せてくると、口の周りがクシャッとした感じになり、皮膚がたるんで老けた印象のお顔になります。さらに骨がやせてしまえば、骨の中を通っている神経や血管が骨の表面に露出し、入れ歯などの刺激によって痛むこともあります。

お手入れは、食後に入れ歯を取り外してブラッシングします。お口の中で磨くよりも取り外して磨く方が簡単なのですが、歯磨きとともに入れ歯の清掃をしなくてはならないため、煩わしいと感じる方もいらっしゃいます。

インプラント

あごの骨にチタンでできたインプラント体という小さな金属を埋め込み、それを土台にして人工歯を固定する治療法です。チタンは人間の体によく馴染み、その表面で骨が成長しながら結合するという性質があります。そのため「インプラント」はあごの骨にしっかりと固定されますから、天然歯に近い自然な噛み心地が再現され、他の歯を削ったり余分な力をかけたりすることもありませんので、残った健康な歯をそのまま維持することができます。また、失った歯の位置や本数にかかわらず、理想的な結果になるように治療の計画が立てられるのも特徴です。さらにインプラントは噛む刺激をあごの骨に伝えますから、あごの骨が痩せる心配がありません。そのため、お口の周りの老化を遅らせ、美容の面からも優れた治療法です。

すなわちインプラントのメリットは違和感なく噛める、見た目が美しい、他の歯や骨に悪影響を及ぼさない、天然の歯と同じように食べることができるといった治療後の快適な生活にあり、それらは入れ歯やブリッジにはない、優れた特徴になっています。

しかし、埋め込みのための手術が必要であること、また入れ歯やブリッジに比べて治療期間が長いこと、治療費が高額であることなどのデメリットもあります。

また、あごの骨が痩せて治療に十分な骨量のない方や、重篤な全身疾患のある方は手術を受けることができません。患者様の既往症や病状をお伝えいただき、メリット・デメリットを考え合わせ歯科医師とともに相談しながら、安心安全なインプラント治療を検討しましょう。

インプラント ブリッジ 入れ歯
治療期間 3カ月~6カ月程度 1ヶ月程度 1ヶ月程度
費用
(保険)
なし 3本10,000〜15,000円程度 1本6,000円程度
費用
(自費)
1本40~60万円 3本7~20万円 1本7~20万円
必要な処置 日帰りの手術が必要 土台の歯を大きく削る
(歯冠の40~70%ほど)
型取りなど。
(バネをかける歯を少し削る場合がある)
周りの
歯への
影響
なし 削られた土台の歯は虫歯など
細菌に侵されやすく、
噛む力の負担も大きい。
バネをかけた部分に細菌が
溜まりやすい。バネによって
強く揺さぶられて負担も大きい。
お手入れ 毎日の歯磨きと半年~1年に一度のメンテナンス 毎日の歯磨き 毎日の歯磨きと毎食後の
入れ歯の清掃
噛み心地 自然の歯のように噛める。
違和感なし。
自然の歯のように噛める。 硬いものが噛みにくい。
違和感が強い。
発音 問題なし 問題なし 慣れるまで違和感がある。
耐久年数 手入れがよければ
数10年使用可。
ただし、人工歯の部分は
使用によって刷り減るので
10年程度で交換の必要あり。
7~8年程度。
土台の歯が悪くなれば、
さらに大きいブリッジに
作り替えの必要がある。
6~7年。割れたり、歯ぐきが痩せて入れ歯が合わなくなったり、バネをかけた歯が悪くなってさらに大きい入れ歯が必要になったりする。
※ブリッジと入れ歯は、保険適用のものがあるため、安価に取り組むことができます。しかし快適な使用感や審美性を求めると、自費診療で作製するものが優れており、この3種類の費用的な差は小さくなります。

奥歯の大切な役割

奥歯のことを「臼歯(きゅうし)」といいます。「臼」のように、食べものを噛み砕いたり、すりつぶしたりする役割を担う歯です。
「臼歯」には小臼歯と大臼歯があり、小臼歯は上下左右それぞれ2本ずつの計8本、大臼歯は上下左右それぞれ3本ずつ、計12本あります。しかし、歯の一番奥にある3番目の大臼歯(第三大臼歯)は、いわゆる「親知らず」で、生えてこない人や歯そのものがなかったりする人もいます。
臼歯は、噛む力が全体の歯の中でも特に大きく、奥歯を失うと食べ物が噛みにくくなります。また、噛み合わせの高さを決めているのも奥歯なので、奥歯が失われると、お口のかみ合わせのバランスが崩れてしまいます。

歯に関する調査を基に、永久歯が生えてから抜けるまでの年数を平均すると、一番奥の歯が最も短くて約50年で、前歯よりも10年以上も短い結果となりました。これは歯そのものの寿命というよりも、奥歯には強い力がかかっていることや、歯ブラシが届きにくく、歯垢(プラーク)が残って歯周病や虫歯になりやすくなることから、失われる確率が高くなってしまうのです。

奥歯を失った後の3つの治療法のうち、歯科医師としては「インプラント」治療をお勧めします。なぜなら、「入れ歯」では奥歯の強い噛む力を回復するのが難しく、「ブリッジ」は土台の歯にダメージを与えるために、寿命が短くなります。
奥歯本来の機能である「咀嚼」を考えると、噛む力をしっかりと果たし、残っている健康な歯を傷つけない「インプラント」がなくなった奥歯の代わりを果たすための第一候補です。

インプラント治療の流れ

  1. 問診、視診、レントゲン撮影、CT撮影、写真分析
    患者様の現在のお口の状態を調べ、治療の希望をお聞きします。健康状態、既往歴、服用中の薬など、全身の状態も詳しくお聞きします。
  2. 治療計画コンサルテーション
    患者様のご希望にそった治療計画をご提案し、術式や治療期間、費用やリスクなどについて説明致します。ご不明な点や不安なことなど、十分にご相談下さい。
  3. 術前治療(2〜3回かかることがあります)
    インプラント手術に先立って、歯周病や虫歯への必要な治療を行います。感染予防の点からも大切な処置です。
  4. インプラント埋入手術(1次手術)
    インプラントをあごの骨に埋めて、歯ぐきを閉じます。
  5. 治癒期間
    骨とインプラントの結合を待ちます。この間、生活や仕事に支障がないよう、仮歯や義歯を入れる場合もあります。
  6. 2次手術
    歯ぐきを開いて、インプラントの頭にアバットメントという支台を取り付けます。インプラントに人工歯を取り付けるための部品です。(1次手術の際にアバットメントを装着し、2次手術を行わない場合もあります。)
  7. 型取り
  8. 試適(場合により2回)
  9. 最終上部構造(人工の歯)セット
  10. 定期的なメンテナンス

奥歯のインプラント治療の
特徴とリスク

1.奥歯のインプラント治療の特徴と手術時のリスク

インプラント治療では、上あごの奥歯にインプラントを埋め込むことは、難しいといわれてきました。上あごの奥には、「上顎洞(サイナス)」と呼ばれる空洞があるからです。また、上あごの骨は下あごに比べて「皮質骨」と呼ばれる硬い部分が少ない構造になっています。そのため、インプラントを埋め込んで骨と結合させるには、確かな技術が必要なのです。
もちろん最近では、インプラント製品が改良されて骨結合が促進されるタイプが開発されてきましたし、歯科用CTやシミュレーションソフトなどを十分に活用して事前の準備を行い、経験を積んだ術者が取り組めば安心安全な手術ができます。
しかし、もともと薄い上あごの骨は、歯を失うとますます薄くなっていき、骨密度も低下します。そのため、インプラントを埋めるだけの骨の厚みや量がなくなっているために、インプラントと骨の結合がうまくできないケースもあります。こうした場合は、体の別の部分から「骨移植」を行った上でインプラント治療に取りかかるという方法もありますが、患者様には非常に負担が大きく、治療期間も半年~1年ほど余分に長くなってしまい、より一層上あごのインプラント治療を難しいものにしてきました。

当院では、インプラントの埋入手術と同時に、人工骨を補う「サイナスリフト」という処置を行っています。この方法だと大掛かりな骨移植をしなくても、インプラント治療を行うことができます。またインプラントを斜めに角度をつけて埋め込むことで、少ない骨量を補う方法を取る場合もあります。
どのような方法を用いるかは、患者様の症状や体質、病歴などさまざまな要素を複合的に判断し、患者様にとって一番効果的で負担が少なく、治療効果が長く続く方法をご提案します。

下あごは通常、上あごの骨より高さと硬さがあります。しかし、歯がないままで長期間過ごしていたり、入れ歯やブリッジを長期間使用していたりすると、歯の根のない部分の骨はすり鉢状に溶けてなくなってしまいます。下あごの臼歯部の骨の中には、「下顎管」という管があり、その中に「下歯槽動脈」と「下歯槽静脈」、「オトガイ神経(三叉神経第三枝)」という太い神経が通っています。この神経は、下あごの歯や唇、頬粘膜の感覚を伝える働きをするのですが、その神経を傷つけると神経が麻痺する事態となり、長期にわたって歯や歯肉、下唇の感覚が鈍くなり、唇がしびれるなどの後遺症が出ることもあります。
また、下あごの奥には「舌動脈」のような太い血管が通っており、この血管を傷つけると大出血となり、命に関わる危険性もあります。そのため、インプラント治療前には綿密な治療計画を立てる必要がありますし、手術には卓越した技術力を要します。

当院では、このようなリスクを十分に把握した上で、患者様一人ひとりに綿密に術前診査を行い、治療計画を立て、手術のシミュレーションを行います。また、執刀する歯科医師も、サポートする歯科衛生士も、豊富なインプラント手術の経験があり、的確な対応・処置を行ってまいります。
2.治療後のリスク
インプラント治療後に、インプラントの周囲に炎症が起こる「インプラント周囲炎」や、人工歯の部分が欠けたり割れたりする「破損」が起こることがあります。

「インプラント周囲炎」は、インプラントの周りに歯周病に似た症状が起きます。主な原因には、お口の中の清掃が行き届かないために起こる「細菌」によるものと、歯ぎしりなどによって、インプラントに噛む力がかかり過ぎてしまう「外力」によるものとが考えられますが、その他の様々な要因が働く場合もあり、はっきりと原因を特定することは難しいのが現状です。

人工歯の「破損」も、噛む力が強くなる奥歯では起こりやすくなります。ご自身では強く噛んでいなくても、噛み合わせのくるいによって外力がかかり過ぎる場合があります。長年使っていると人工歯は少しずつすり減っていきます。歯の噛み合わせの面の溝がなくなってくると、効率よく食べ物をすりつぶすことができないので、無意識に力が入ることがあります。
また噛み合わせの高さが低くなるので、噛む力も余計にかかってしまいます。そのため、部分的に強い力がかかり過ぎて人工歯の破損やインプラント周囲炎を引き起こすことがあるのです。

インプラントのチタンはとても丈夫な金属ですので、劣化することはほとんどありませんが、インプラント周囲炎や人工歯の破損をそのままにしておくと、インプラントの周囲の組織が傷ついてしまい、インプラントがあごの骨から外れたり、除去しなければならなくなったりします。
こうしたリスクを避けるためにも、毎日のていねいな歯磨きなどのセルフケアと、定期的なインプラントのメンテナンス(プロケア)を行うことが大切です。

当院では、治療終了後にも半年~1年に1度来院していただき、インプラントに異常がないか、噛み合わせに問題はないか、人工歯の破損はないか、人工歯を固定しているネジに緩みはないか、などをチェックするとともに、専用の器具でお口の中が快適になるように、きれいに清掃します。

インプラント治療についての
よくある質問

「インプラント」とはどんな治療ですか?
「インプラント」とは、もともと「植え付ける」という意味の英語です。医学用語では、組織や臓器などを移植したり、人工物を埋め込んだりするような治療のことを言います。
歯科治療では、失った歯の代わりに、歯の抜けた部分のあごの骨(歯槽骨)に人工の歯根を埋め込んであごの骨と結合させ、それを土台に人工の歯を装着する治療法を指します。一般的なインプラントは、あごの骨に埋め込む「人工歯根(インプラント体)」、粘膜の上に出て歯の役割をする「人工歯(上部構造)」、これらをつなぐ「アバットメント」という3つの部品からできています。
「インプラント」は、「入れ歯」のような違和感や取り外しのわずらわしさがなく、「ブリッジ」のように健康な歯を削ることもありません。インプラントだけで自立していますから、周りの歯に負担をかけることがありません。また、自分の歯と同じようにしっかりと噛んで食事ができ、見た目が自然で美しいため、インプラント治療を希望する患者様が年々増えています。
インプラントの手術とは、どのようなものですか?
あごの骨に「人工歯根(インプラント体)」を埋め込む手術で、局所麻酔を使って行います。痛みを感じることもなく、奥歯のインプラントの場合1時間ほどで終わります(本数や必要な処置によって変わります)。入院の必要はありません。手術時間は短いですが、下あごには下歯槽管という太い神経が通っていますし、上あごには上顎洞という空洞がありますので簡単な手術というわけではありません。高度な技術と豊富な経験をもつ歯科医師が担当してくれれば安心です。
インプラント手術は、誰でも受けられますか?
インプラント手術が受けられない方は、骨の成長期にある未成年の方、妊娠中の方、血液の疾患のある方、あごの骨が極度に薄くなっている方などです。それ以外のほとんどの人がインプラン卜手術を受けることができます。高齢の方でも健康であれば問題ありません。高血圧や糖尿病のような全身疾患のある方も、病気をしっかりコントロールできていることが確認できれば手術は可能です。持病や日常服用している薬があれば、必ず歯科医にお伝えください。また、喫煙は骨とインプラン卜の結合に悪影響を及ぼしますので、禁煙するようお願いしています。
あごの骨の量が極端に少ない方は、手術ができるかどうかの見極めが大事になります。当院では人工骨などで骨を増やしたり、短いタイプのインプラントを使ったりと、患者様の症状に合わせた工夫をして、手術を可能にするように努めています。
インプラントの手術の前にしておくべきことは何ですか?
インプラント手術に対する疑問や希望、歯の悩み、既往症など、遠慮せずに歯科医に相談をしてください。今までに受けてきた歯科治療や歯の悩み、治療によってどのようになりたいかという希望など、歯科医と十分なコミュニケーションを取ることが必要です。わからないことはどんどん質問して、解決しておきましょう。また、歯科医の考えに納得がいかないときは、セカンドオピニオンとして別の歯科医院で考えを聞くことも大切です。
手術が決まった日からは、体調管理に努めてください。食事や睡眠など規則正しくとることを心がけましょう。
手術前のお食事は軽めにしておきましょう。服用中の薬がある方は、歯科医院の指示に従ってください。また、術後の運転を避けるため、手術当日の送迎を誰かに依頼するか、公共交通機関を利用するなどの計画を立てましょう。
インプラント手術の前に必要な診察や検査にはどんなものがあるのですか?
インプラント手術の前には、「問診」「視診」「X線検査」「CT検査」「血液検査」などをおこないます。
「問診」は問診票の記入や患者様とのコミュニケーションで行われます。お口の悩み、現在の体調や服用薬、過去の病歴、生活習慣などを調べます。治療を進めていくための重要な情報ですので、ありのままにすべて教えていただきたいと思います。(患者様の個人情報は厳重に取り扱い、治療以外の目的で使用することは一切ありませんので、ご安心ください)
「視診」とは、お口の中の状態を目で見て調べることです。かみ合わせの状態やかみ癖、歯ぐきや粘膜の状態などを調べます。
「X線検査」や「CT検査」は、歯やあごの骨の状態を調べ、具体的な治療計画を立てるために必要です。インプラント治療は、あごの骨に「人工歯根(インプラント体)」を埋め込むため、骨の内部の状態も正確に把握する必要があります。特に最近ではCTで得たデータをコンピュータで解析し、あごの骨の質を調べたり、骨の中を通る神経の位置を立体的に再現したりすることができるので、インプラントの手術をより安全に行えるようになりました。当院でも使用している歯科用CTは、医科用CTよりもさらに被爆量が少ないため、安全性も高くなっています。
「血液検査」は、全身の健康状態を知るために必要です。健康診断を受けている方は、その結果をお知らせください。受けていない場合には、かかりつけの病院や内科で、血液検査を受けて頂きます。ご本人は気付いていない糖尿病や高血圧症が隠れている場合もあります。知らずに手術を受けると、事故に繋がりかねません。もしも何かの異状が見つかれば、インプラント手術の前にそちらの治療を優先させることもあります。また、院内感染を防ぐために、肝炎やHIVなどの感染の有無を調べます。
すべては、安全にインプラント手術を行うために必要な処置や検査です。
手術後の注意点を教えてください。
当日は安静に過ごしてください。傷口からの出血を抑えるため、血流の良くなること(運動、入浴、飲酒など)は控えてください。また傷口を舌などで触るのも良くありません。出血が気になるようでしたら、清潔なガーゼを強めに噛んでください。何度もうがいをするとかさぶたができにくくなるため、返って止血を妨げます。
食事も傷口を刺激しないよう、軟らかめのものにしましょう。歯みがきの仕方については、歯科医院での指示に従ってください。
麻酔が切れた後、腫れたり、痛みがありますか?
麻酔が切れた後に痛みが出る方もいらっしゃいますが、痛み止めの薬で収まる程度です。痛みが強過ぎたり、術後何日も痛みが続く場合には、ご連絡ください。
腫れは体質や体調などによって個人差があり、腫れる場合と腫れない場合があります。腫れると、術後2~3日目にピークとなりその後小さくなって1週間~10日程でおさまります。頭を高めにして寝たり、濡れタオルなどで軽く冷やしたりするといいようです(氷のような冷たすぎるものは逆効果です、ご注意ください)。
手術の後、食事はできますか?
手術の直後は、傷口を刺激しないように軟らかいお食事にしてください。傷口が癒えてきたら、普通のお食事をとってかまいませんが、あまり硬いものは避けていただきたいと思います。
禁煙しなければいけませんか?
インプラントの手術に限らず、当院では禁煙を強くお勧めしています。喫煙すると、お口の中にヤニが付着し、細菌の格好の住みかになります。またニコチンの作用で血管が細くなり、血流が悪くなって栄養分が運ばれにくくなり、傷口の治りも遅くなります。栄養分が運ばれないと骨の新陳代謝も滞り、インプラントとの結合もうまくできません。
このように喫煙していると、せっかくインプラント手術を受けても、やり直さなければならなくなる場合があります。喫煙は体にとっていいことはひとつもありません。この機会にぜひ禁煙していただきたいと思います。
治療後のメンテナンスについて教えてください?
インプラントを長持ちさせるためには、定期的に歯科医院に通って、インプラントを含めたお口の中の状態をチェックしてもらう必要があります。インプラント治療の後、半年~1年に1度の間隔で、歯科医院にお通いください。
メンテナンスでは、インプラントに異常がないか、ネジの緩みや破損はないか、人工歯にひびや欠けはないかなど、ご自身では気付きにくいところまで調べます。またかみ合わせのチェックをし、専用の器械で隅々まで清掃してお口の中が快適になるようにします。
インプラントや人工歯のちょっとした変化が、かみ合わせ全体に影響し、知らず知らずのうちに無理な力が歯やインプラントにかかってやがて炎症などを引き起こす場合があります。定期的なメンテナンスで、快適な噛み心地を永く維持して頂きたいと思います。
歯を抜く処置のときに、一緒にインプラントの埋め込みをすることはできますか?
歯を抜いた後、すぐにその穴にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入(ばっしそくじまいにゅう)」という治療法があります。しかし、これはさまざまな条件に合致した方のみができる、特殊な方法だとお考えください。
歯を抜く処置をするということは、その周辺に炎症や病気が広がっている場合が多く、歯を抜くという行為であごの骨や歯肉もダメージを受けています。そのような状態でインプラントを埋めたとしても、うまく骨と結合しないことが多く、症状を悪化させる恐れがあるからです。通常は歯を抜いた後、半年程度お待ちいただき、骨や歯肉の回復を待った後にインプラント手術を行います。
治療には「一次手術」と「二次手術」と、2回も手術をするのですか?
インプラントの手術には、二次手術が必要な場合と、必要としない場合があります。インプラントと人工歯をつなぐアバットメントという部品を、一次手術のときに装着するか、しばらく間をあけて二次手術で装着するのか、という違いです。どちらになるかは、骨の状態やお口の中の状態などから、歯科医が判断して決めます。 二次手術は一次手術に比べて短時間ですみ、体への負担も非常に小さいものですので、ご安心ください。
手術に不安があります。安全に手術が行われる歯科医院かどうかの見分け方はありますか?
確かな技術力と豊富な経験、患者様の立場に立ってより良い治療を考える人間力。それがいい歯科医院を選ぶポイントです。

患者様からはなかなかわかりにくいと思いますが、次のような点でチェックできます。
・その医院でインプラント治療を受ける患者様が多いか
・ホームページなどに症例がたくさん紹介されているか
・インプラント治療についての質問に対して、詳しくわかりやすく説明してくれるか
・インプラントの手術前の診査が十分か(レントゲン写真やCTの撮影、念入りな問診など)
・治療計画を詳しく説明してくれるか
・医院内に清潔感があるか
・手術は他の診療室とは隔離された空間で受けられるか
などです。
できれば、複数の歯科医院を見て比較すれば、もっとわかりやすいと思います。

治療期間について

インプラント治療は、ブリッジや入れ歯に比べると治療期間が長くなります。手術から本歯の装着まで、上あごの場合で早くて6カ月程度、下あごで3カ月程度必要です。奥歯の場合、この治療期間中は歯がない状態で過ごしていただくことになります。インプラントが骨と結合するまでの間、強い力がかかると結合しなくなるため、仮歯で噛んでしまうことを防止するために、歯を入れないことが多くなります。
しかし、歯がないことで不都合な場合は、仮歯を入れることもあります。そのときは、強く噛むことができないように、仮歯の噛み合わせの高さを低くしますので、手術後にすぐ歯を入れたいとお考えの患者様は、当医院までご相談ください。

費用について(税別)

  • 術前
    CT撮影、分析 30,000円
  • 手術時
    (1次手術、2次手術、薬を含みます)
    インプラント埋入手術料 260,000円/1本
    アバットメント 50,000円/1本
  • 人工歯作製時
    ハイブリッドセラミッククラウン 70,000円/1歯
  • 追加処置と費用
    静脈内鎮静法
    (手術中のリラックス治療)
    80,000円〜
    サイナスリフト(人工骨) 200,000円〜
    インプラント仮歯 10,000円/1歯
    即日装着のインプラント仮歯 30,000円/1歯

当院のインプラントの特徴

ていねいな診査・診断と
患者様お一人おひとりに合わせた
治療計画
当院では、初診の際に問診・CTを含む各種検査を行います。次回、ご来院いただいた際には、患者様一人ひとりに合った治療計画を提案させていただきます。患者様には、治療を進めるかどうかを十分に時間をとって検討していただき、納得していただいた上で治療を行わせていただきます。
経験豊富な歯科医師

手術を行うDr.中平は、1981年にこの中平歯科を開業しその当初からインプラント治療に取り組んできました。お口に悩みのある患者様を一人でも多く救いたいと、2002年に松山で、2005年には東京銀座でも開業し、日本でも有数のインプラント治療実績を重ねてきました。奥歯や前歯のような部分のインプラント治療だけで4000本以上の埋入実績があります。また、あご全体のインプラント治療であるワンデイインプラントを考案し、この特殊な治療の手術を1000顎以上(手術件数通算1000顎×埋入平均5本=5000本以上)、合計すると1万本近いインプラント埋入を行ってきました。このあご全体のインプラント治療において、日本のトップリーダーとしてまい進している経験豊富なインプラント外科専門医です。

こうした治療の中には、難症例といわれる難しい症例も多く、綿密な準備と的確な手技でインプラント治療を可能にしてきました。また他院や大学病院などからも手術依頼を数多く受けており、その知識と技術で噛むことに困っている患者様に満足のいく結果をもたらしています。そのDr.中平が、現在も故郷である今治でインプラント埋入手術を100%執刀しています。

静脈内鎮静法を希望された患者様には、専門の歯科麻酔科医がDr.中平の手術に立ち会います。患者様の手術に対する不安感や恐怖心を取り除き、血圧や心拍をコントロールすることで落ち着いて安全に手術が行われるようにサポートします。

インプラント治療を成功に導くためには、人工の歯(補綴)が患者様のお口に適しているかが、一番大きな役割を担います。歯科医師は歯科技工士とともに力を合わせ、患者様の希望にそった理想的な噛み合わせをつくり上げていきます。

感染予防に配慮した
材料選びと医院環境で、
安心のインプラント治療

患者様の中には持病を持っている方もいらっしゃると思います。またご自分ではまだ気付かれていない病が隠れていることもあります。手術の前には念入りに問診を行い、必要であれば患者様のかかりつけの医院や内科と連携をして、安全に手術が行える状態であることを確認します。
当院で使用するインプラントは、患者様のそれぞれの適性に応じて、信頼性の高いトップクラスのブランドのみを使用しています。信頼の置けるインプラントというのは、骨となじむ優れた「生体親和性」があったり、さまざまな状況に陥っても柔軟な対応ができたりと、安全に治療を進める上で欠かせない長所を有しているのです。

また手術で使用するものは、可能な限りディスポーザブル(1回使用の使い捨て)にしており、感染のリスクを最小限にするよう努力しています。

将来を見越した
メンテナンスプログラム
インプラント治療を長持ちさせる秘訣は、治療後のメンテナンスです。インプラントで噛めるようになったら終わりというのではなく、歯科医師と歯科衛生士による定期的なメンテナンスを受けることが重要です。 当医院では半年~1年に一度、メンテナンスにお越しいただき、噛み合わせやインプラント周囲炎のチェック、各パーツに緩みや破損がないかなどを確認した上で、お口の中全体をクリーニングします。 メンテナンスを受けることでトラブルを未然に防止し、インプラントを永く快適に使い続けることができます。