LOST MAEBA

前歯を失った後の治療

お口の中でも、前歯は人の視線を浴びやすいところです。お顔の印象を左右するパーツでもあります。ですから、歯を失うととても困ります。周りの歯と調和し、自然な仕上がりの人工歯で補いたいものです。歯を失ったときの治療法には、入れ歯、ブリッジ、インプラントなど、さまざまな種類があります。それぞれの治療法の特徴を確認して、ご自分の希望に合った最適の治療法を選びましょう。

3つの治療法

前歯を失ったときの治療法には、大きく分けてブリッジ、入れ歯、インプラントの3種類があります。

ブリッジ
名前の通り、失った歯の隣にある歯を芯にするようにぐるっと削り、それを土台にして人工の歯を橋のように架ける治療のことです。もともとあった歯を土台にして人工の歯を固定するため、硬いものを噛むこともできます。噛み心地も安定していて、材質を選ばなければ(決められた材質であれば)保険適用にもなり(部位や材質によっては自費診療になることも)、取り組みやすい治療です。

しかし、健康な歯を大きく削って土台とするために細菌に侵されやすく、通常の1.5~2倍の噛む力が土台の歯にかかるため、歯への負担が大きくなります。また、隣り合った3本以上の歯が失なわれた場合は、ブリッジ治療を行うことができません。

また、保険適用のブリッジは、「硬質レジン前装冠」と呼ばれる金属に白い硬質レジンを被せたものですが、長い間使っているとレジンが黄色っぽく変色したり、金属の成分が歯ぐきに浸透して黒くなったりすることがあります。

入れ歯
残っている歯にバネをかけて人工の歯を補います。材質を選ばなければ(決められた材質であれば)保険適用にもなり、どの位置の歯がなくなっていても対応可能です。ブリッジのように健康な歯を大きく削ることがなく(ばねを掛けるための溝を作るため、少し削る場合もあります)、型取りなどの簡単な処置で作ることができます。また、取り外すことができますから、メンテナンスも簡単で、気軽に取り組める治療法です。
しかし、バネで歯を締め付ける感じや、床(しょう)と呼ばれるピンク色の部分が粘膜に触れる感じが慣れにくく、違和感を訴える方が多いようです。また、固定源がないので、しっかりと噛むことができません。その他にも、ずれる、外れる、痛い、話しにくいなどといった不具合を訴える方も多くいらっしゃいます。さらに長年入れ歯を使用し続けると、あごの骨に噛む刺激が与えられないため、あごの骨がやせてくるという現象が起こります。これはブリッジにも当てはまるのですが、顔の土台となるあごの骨が痩せてくると、口の周りがクシャッとした感じになり、皮膚がたるんで老けた印象のお顔になります。さらに骨がやせてしまえば、骨の中を通っている神経や血管が骨の表面に露出し、入れ歯などの刺激によって痛むこともあります。

また、お口で目立つ部分のため、口を開いたときにバネが見えてしまうことがあります。バネの目立たない入れ歯や軽い材質で作る入れ歯など、自由診療であれば様々な種類のものがありますが、いずれも取り外し式で、外したときに一気に老いを感じる、というお声も聞きます。

インプラント
あごの骨にチタンでできたインプラント体という小さな金属を埋め込み、それを土台にして人工歯を固定する治療法です。チタンは人間の体によく馴染み、その表面で骨が成長しながら結合するという性質があります。そのためインプラントはあごの骨に固定されますから、天然歯に近い自然な噛み心地が再現されます。他の歯を削ったり余分な力をかけたりすることもありませんので、残った健康な歯をそのまま維持することができます。さらにインプラントは噛む刺激をあごの骨に伝えますから、あごの骨が痩せる心配がありません。そのため、お口の周りの老化を遅らせ、美容の面からも優れた治療法です。
このようにメリットの多いインプラント治療ですが、デメリットもあります。インプラントの埋め込みのための手術が必要です。また入れ歯やブリッジに比べると治療期間が長く、治療費も高額になり、やや取り組みにくい治療です。しかし、違和感なく噛める、見た目が美しい、他の歯や骨に悪影響を及ぼさない、天然の歯と同じように食べることができるといった治療後の効果は、入れ歯やブリッジにはない、優れた特徴です。こうした高い効果を得るためには、時間と費用がかかることはご理解いただけると思います。
インプラント ブリッジ 入れ歯
治療期間 3カ月~6カ月程度 1ヶ月程度 1ヶ月程度
費用
(保険)
なし 1本10,000円〜15,000円程度 1本6,000円程度
費用
(自費)
1本40~60万円 1本7~20万円 1本7~20万円
必要な
処置
日帰りの手術が必要 土台の歯を大きく削る
(歯冠の40~70%ほど)
型取りなど。
(バネをかける歯を少し削る場合がある)
周りの
歯への
影響
なし 削られた土台の歯は虫歯など細菌に侵されやすく、噛む力の負担も大きい。 バネをかけた部分に細菌が溜まりやすい。バネによって強く揺さぶられて負担も大きい。
お手入れ 毎日の歯磨きと半年~1年に一度のメンテナンス 毎日の歯磨き 毎日の歯磨きと毎食後の入れ歯の清掃
噛み心地 自然の歯のように噛める。違和感なし。 自然の歯のように噛める。 噛み切る力が弱い。違和感が強い。
発音 問題なし 問題なし 慣れるまで違和感がある。
耐久年数 手入れがよければ数十年使用可。ただし、人工歯の部分は使用によってすり減るので10年程度で交換の必要あり。 7~8年程度。土台の歯が悪くなれば、さらに大きいブリッジに作り替えの必要がある。 6~7年。割れたり、歯ぐきが痩せて入れ歯が合わなくなったり、バネをかけた歯が悪くなってさらに大きい入れ歯が必要になったりする。
※ブリッジと入れ歯は、保険適用のものであれば、安価に取り組むことができます。しかし快適な使用感や機能性を求めると、自費診療のものが優れており、この3種類の費用的な差は小さくなります。

前歯の大切な役割

切歯、側切歯、犬歯を含む前歯は、正面から見て左右に6本ずつ、上下合わせて計12本あります。前歯には、「審美」「発音」「食べ物を噛み切る」という3つの役割があります。

「審美」とは、顔の印象や笑顔を美しく見せたりする、見た目の美しさのことです。江戸時代の女性の、お歯黒を塗った顔を思い浮かべてみてください。口元に白い歯が見えているかどうかが、いかに顔の印象を左右するか想像できると思います。

「発音」とは、話すときに空気が抜けず、きれいな発音が行えることです。前歯を失うと、空気が漏れて発音しづらくなります。

そして前歯は「食べ物を噛み切る」機能を持ちます。食事をするとき口の中では、まず前歯で食材を適度な大きさに噛み切り、奥歯で細かく砕いたりすり潰したりして、食べ物を消化しやすくする、という風に役割分担をしています。奥歯に比べれば噛む力は弱いのですが、私たちは無意識のうちに前歯と奥歯を効率良く使って、食事をしているのです。前歯はこのように幅広い役割を果たしています。

前歯を失った後、こうした役割を人工の歯で補うとしたら、理想の治療はなんといってもインプラントです。見た目に自然で美しく仕上がりますし、他の歯に負担をかけず、顎の骨にも影響しません。

インプラント治療の流れ

  1. カウンセリング(問診や視診)、レントゲン・CT撮影など
    患者さまの現在のお口の状態を調べ、治療結果の希望をお聞きします。既往歴や他科の受診状況、服用中の薬などは、手術に必要な情報ですので、できるだけ詳しく教えてください。
  2. 治療計画のご提案
    患者さまのご希望を考慮し、最適と考えられる治療計画をご提案します。また治療期間や費用、リスクなどについても説明致します。ご不明の点や不安なことなどは、ささいなことでもご相談下さい。
  3. 術前治療
    インプラント手術の前に、歯周病や虫歯などの治療が必要な場合は、先に行います。数回通って頂く場合もありますが、感染予防の点からも大切な処置ですのでご了承ください。
  4. インプラント埋入手術、仮歯の固定
    局所麻酔をし、インプラントをあごの骨に埋める手術をします。骨の状態によって、インプラントにアバットメントという部品を取り付けて仮歯を固定することがあります。アバットメントを取り付けられない場合には、歯ぐきを閉じて仮歯を隣の歯に接着したり、一時的に入れ歯を作ったりします。
  5. 治癒期間
    インプラントと接する面で骨が成長し、結合するのを待つ期間です。この間は、仮歯や義歯で過ごして頂きます。
  6. 2次手術(1次手術でアバットメントを装着していなかった場合)
    インプラントの頭の部分の歯ぐきを切開し、アバットメントを取り付けます。インプラントと人工歯をつなぐための部品です。1次手術でアバットメントを装着した場合には行いません。
  7. 型取り
    インプラントと骨の結合が確認されたら、いよいよ本歯(最終上部構造)の作製に取り掛かります。
  8. 試適(場合により2回)
  9. 最終上部構造(本歯)セット
  10. 定期的なメンテナンス

前歯のインプラント治療のリスク

1.手術時のリスク

インプラントの埋入手術は、切開など出血を伴う処置ですので、他の外科手術と同様に動脈や神経を傷つけてはいけないとか、感染症を起こしてはいけないなどの注意点があります。

インプラントの手術特有のリスクとしては、あごの骨の質や量がインプラントの埋入に適しているかという問題があります。お口のすぐ上には、鼻からの空気の通り道があり、上あごの骨は垂直方向(高さ)も、唇側と口の内側の水平方向(厚み)も、薄くなっています。また、上あごは、骨のうちの「皮質骨」と呼ばれる硬い部分が少なく、インプラントと骨との結合に下あごよりも時間がかかるのが特徴です。

また上あごの前歯は、歯の中で一番目立つところです。左右の歯との位置関係、前後の傾き、予定される人工歯の大きさや形なども想定し、綿密に計画を立てて、インプラントを埋入しなければいけません。0.数ミリの誤差が治療結果を左右する、とても繊細な手術なのです。

下あごの前歯は、上あごの前歯に比べると、サイズが小さくなっています。そのため、下あごの前歯がなくなると、歯のあったスペースはとても狭く小さいものになります。そこにインプラントを埋め、人工歯を固定するのは、とても繊細な手技が必要になります。

このように、前歯のインプラント治療には大変細やかな治療計画と、繊細で正確な治療技術が必要です。さらに患者さまの症状は一人ひとり違っています。十分な診査を行ってよく見極め、埋入シミュレーションを駆使して安全に手術を行わなければいけません。

2.手術後のリスク

手術後に起こることが考えられるリスクには、インプラント周囲炎と、インプラントの脱落と、人工歯のトラブルがあります。

インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に起こる炎症を言います。原因には、取りきれなかった汚れによって細菌が繁殖することや、強い噛む力が集中してかかったことが考えられます。早期の症状でしたら治療によってもとの健康な状態に回復しますので、定期的な歯科医院でのメンテナンスを受けて、予防と早期発見に努めましょう。
インプラント周囲炎が重症化し、インプラントの周囲の骨が溶けてしまった場合や、強すぎる力によって骨の組織が壊された場合など、まれにインプラントが脱落することがあります。原因はこのほかに、骨の代謝になんらかの異常があった場合や、他の全身疾患からの影響、喫煙による骨代謝の不良などが考えられます。もしもインプラントが脱落した場合は、再度骨質のよい部分に埋入することで回復させることができます。
前歯は人目につくところですから、人工歯の仕上がりによって見た目が大きく変わります。例えば、歯の色を真っ白にするか、周囲の歯と同じ色にするか、透明感がある方がいいのか、写真に撮ったときの写り具合に不満はないか、歯の形は角ばっているのがいいのか、丸みがある方がいいのか、大きめか小さめか、厚みがあるのか、薄い方がいいのかなど、患者さまのご要望に応えた仕上がりを調整しなければなりません。補綴(人工歯の作成や装着)を担当する歯科医師と歯科技工士が、患者さまと十分にコミュニケーションを取る必要があります。
私たちは歯という一部分の治療に終始するのではなく、口元(歯と唇の両方)をトータルに見て美しいと感じられること、歯のある生活を楽しんでいただけることを目標に治療を行います。

インプラントの手術についての
よくある質問

インプラントとはどんな治療ですか?
インプラントとは、もともと「植え付ける」という意味の英語です。医学用語では、組織や臓器などを移植したり、人工物を埋め込んだりする治療全般で使われます。
歯科治療では、失った歯の代わりに、あごの骨(歯槽骨)にインプラント体という人工の歯根を埋め込んであごの骨と結合させ、それを土台に人工の歯を装着する治療法をいいます。一般的なインプラントは、あごの骨に埋め込んで歯の根の役割をする「インプラント体」、粘膜の上に出て歯の役割をする「人工歯(上部構造)」、これらをつなぐ「アバットメント」という3つの部品からできています。
インプラントに使われる素材は「チタン」です。人体には異物を排除しようとする働きがありますが、チタンは人体との親和性が高く、骨としっかりと結合するため、歯科のインプラントのみならず、人工関節や人工骨といった整形外科の分野でもよく使われます。チタンの表面をおおう酸化層に骨の細胞が出すたんぱく質や糖質が結びつき、チタンを包み込むように骨が再生されるため、強固な結合になるのです。
このチタンと骨の関係は、1950年代後半に、スウェーデンのブローネマルク教授が発見しました。この現象を教授は、骨をあらわすラテン語「オス」と結合を意味する「インテグレーション」を組み合わせ、「オッセオインテグレーション」と名付けました。その後教授は歯科治療に生かすために研究を重ね、1965年に初めて患者に現在のようなインプラント治療が行われました。それ以来、アメリカやヨーロッパなどの歯科医療先進国を中心に普及しました。
現在、欧米では歯を失った後の治療としてインプラントが一般的となっています。日本でも治療効果の高さ(※)や、インプラントの定着率の高さ(術後10年を経過した定着率は95%程度)、歯科医師の技術力や各製品の品質の向上など治療の安全性の高まりもあり、徐々に普及してきています。
(※インプラントは、入れ歯のような違和感や取り外しのわずらわしさがなく、ブリッジのように健康な歯を削ることもありません。インプラントだけで自立していますから、周りの歯に負担をかけることがありません。また、自分の歯と同じようにしっかりと噛んで食事ができ、見た目が自然で美しいといった効果があります。)
インプラントはどのくらいの期間もちますか?
インプラントの素材であるチタンは、非常に耐久性のある金属です。しかし、インプラントを取り巻く周囲の組織は人の体の一部ですから、常に変化をしています。さらに各個人の体質や生活習慣など、条件が違っていますからどのくらいもつのか一概に言うことはできません。しかし、条件が良く、定期的なメンテナンスが行き届いていれば、数十年使い続けていらっしゃる方も大勢います。
ただし、インプラントに装着した人工歯の部分は、毎日使ううちにすり減ってきます。そのまま使うとお口全体の噛み合わせがおかしくなりますので、すり減りが見られたら作り換えをお勧めしています(大体10年経過が目安です)。
インプラント治療の手術とは、どのようなものですか?
あごの骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込む手術です。局所麻酔を使って行い、本数にもよりますが1時間ほどで終わります。入院も必要ありません。
手術後、インプラント体とあごの骨がしっかりと結合したことが確認できたら、最終的な歯を入れる準備のための2回目の手術をおこないます(2回目の手術が必要ない場合もあります)。1回目の手術から2回目の手術までは2〜6か月ほどです。
インプラント手術の前にしておくべきことは何ですか?
インプラント治療に対する疑問や希望、歯の悩み、既往症など、遠慮せずに歯科医師に相談をしてください。歯科医師と患者様とが、十分なコミュニケーションを取ることが必要です。わからないところがあれば、納得できるまでじっくり話し合っておきましょう。また、セカンドオピニオンとしてインプラント治療を専門とする別の歯科医師の考えを聞くことは、理解を深める良い機会です。
また、高血圧や糖尿病などの全身疾患がある場合は、薬でコントロールされている必要があります。直近のかかりつけ医院での検査結果などを歯科医師に提出し、インプラントの手術が可能かどうか判断してもらいます。状態によっては、インプラントの手術の前に内科の治療を優先して頂きます。
インプラントの手術前の過ごし方や注意点を教えてください。
まずは体調を整えておきましょう。日帰りで手術は終わりますが、それでも体には負担がかかります。栄養と休養をしっかりと取っておきましょう。
また、手術の前のお食事は軽めにしてください。服用中の薬がある方は、歯科医院での指示に従ってください。また、術後はなるべく運転をしないで帰宅できるよう、あらかじめ計画をしておくと良いでしょう。
手術後の注意点を教えてください。
当日は安静にお過ごしください。術後しばらくは、まだ傷口から出血する恐れがあるため、血流の良くなること(運動、入浴、飲酒など)は控えてください。また傷口が気になっても舌などで触らないでください。出血が続くようでしたら、清潔なガーゼを強めに噛んで、抑えてください。何度もうがいをすると、かさぶたができにくくなり、かえって止血しづらくなります。
手術後に痛みや腫れが出ることがありますか?
麻酔が切れた後に痛みが出る方もいらっしゃいますが、痛み止めの薬で収まります。また、お口の周りが腫れる方もいらっしゃいますが、手術の2~3日後が腫れのピークで、その後1週間程度で自然に治ります。
万が一、痛みが強すぎたり、1週間を過ぎても腫れが続くような場合は、歯科医院にご相談ください。
手術後、食事はできますか?
お食事は普通にとってかまいません。しかし、インプラントが骨と結合するまでの間、強い力を掛けないようにするため、仮歯には力がかかりにくいように設計されています。少し不便かもしれませんが、噛み切らなくてもいいくらいに刻んだり、軟らかめに調理されたお食事を取るようにしてください。
禁煙しなければいけませんか?
インプラントの手術に限らず、当院では禁煙を強くお勧めしています。喫煙は唾液の分泌を抑えるため、口の中の自浄作用が減って不潔になりやすくなります。また、ニコチンが血管を収縮させたり、免疫力を低下させたりするので、必要な栄養分が運ばれにくく、傷口の治癒も遅くなります。
喫煙を続けた結果、インプラントと骨がうまく結合せず、やり直さなければならなくなる場合もあります。体にとって有害ですので、ぜひこの機会に禁煙してください。
歯を抜く処置のときに、一緒にインプラントの埋め込みができるのですか?
歯を抜く処置と同時にその穴(抜歯窩)を使ってインプラントを埋入できる場合もありますが、これは様々な条件が合致したときにできる、特殊な治療だとお考えください。歯を抜くと、骨もその周囲の組織も、ダメージを受けています。そこにインプラントを埋めても、骨とうまく結合しない場合があるのです。歯を抜いた後、日常生活に困らないよう一時的な仮歯や義歯を作って入れておき、骨や組織の回復を待ってインプラントの手術を行います。手術後も、歯のない日がないように、仮歯などを入れますのでご安心ください。
手術した日に仮歯が入るそうですが、どのようなものですか?
仮歯は、プラスティック製です。見た目には自然な歯ですので、日常生活に支障はありません。ただしあくまでも仮歯ですので、最終の本歯に比べると、強度や美しさの点で少し劣ります。
治療後のメンテナンスについて教えてください?
インプラントを長持ちさせるためには、定期的に歯科医院に通って、インプラントを含むお口の中の状態をチェックしてもらう必要があります。インプラント手術の後、半年に1度の間隔で、歯科医院にお通いください。
メンテナンスでは、インプラントやその周囲の骨に異常がないか、人工歯を留めるネジにゆるみがないか、人工歯にすり減りや欠けがないかなど、ご自分ではチェックできないところを、歯科医師や歯科衛生士のプロの目で確認します。こうしたチェックを怠ると、いつの間にか炎症反応が進行してしまったり、噛み合わせの不良から人工歯が割れたりインプラントが脱落したりする場合があるのです。インプラントを長く快適に使い続けるために、ぜひ歯科医院でのメンテナンスを受けてください。
インプラント治療で、いい歯医者さんを選ぶポイントは?

インプラント治療は、専門としている歯科医院で受けなければいけません。インプラント治療の専門院とは、次のような歯科医院です。

・その医院でインプラント治療を受ける患者さんが多い
・ホームページなどにインプラントの症例がたくさん紹介されている
・インプラント治療についての質問に対して、詳しくわかりやすく説明してくれる
・インプラントの手術前の診査を十分に行う(レントゲン写真やCTの撮影、念入りな問診など)
・治療計画を詳しく説明してくれる
・医院が清潔に保たれている
・手術室があり、他の診療室とは隔離された空間で手術を受けられる

などです。できれば、他の歯科医院を見て比較できるとわかりやすいと思います。

もう一つ医院選びで大事なことは、歯科医師やスタッフが、信頼できるかどうか、という点です。治療に関してよくコミュニケーションを取って、その人柄に触れてみましょう。安心して治療を任せられると実感できることが大切です。

治療期間について

インプラント治療は、ブリッジや入れ歯に比べると治療期間が長くなります。手術から本歯の装着まで、上あごの場合で早くて6カ月程度、下あごで3カ月程度必要です。

しかし、この期間の通院回数は半月~1ヶ月に1回程度です。また前歯の場合は、仮歯を入れて歯のない期間を作りません。治療中の患者さまのQOL(生活の質)も落とすことがないよう工夫をしています。

費用

インプラント治療に関する自由診療の費用です。表示は税別料金です。
術前処置として抜歯や歯周病の治療など必要な処置は、別途料金がかかります。

  • 術前
    CT撮影、分析 30,000円
  • 手術時
    (1次手術、2次手術、薬を含みます)
    インプラント埋入手術料 260,000円/1本
    アバットメント 50,000円/1本
  • 人工歯作製時
    ハイブリッドセラミッククラウン 70,000円/1歯
  • 追加処置と費用
    静脈内鎮静法(手術中のリラックス治療) 80,000円〜
    サイナスリフト(人工骨) 200,000円〜
    インプラント仮歯 10,000円/1歯
    即日装着のインプラント仮歯 30,000円/1歯

当院のインプラントの特徴

綿密な診査・診断と患者さま
お一人おひとりに合わせた治療計画
インプラント治療をお考えの患者さまには、問診、視診、レントゲン・CTなどの各種検査を受けて頂きます。それらの結果と患者様のご希望とを考え合わせて、患者さま一人ひとりに合った治療計画を提案させていただきます。詳しくご説明するよう心がけておりますが、わからない点や不安な点がありましたら、遠慮なく質問してください。そして、十分に時間をとって検討していただき、納得していただいてから治療を進めます。
インプラント治療の
経験が豊富な歯科医師
手術を行う中平歯科医師は、1981年にこの中平歯科を開業しその当初からインプラント治療に取り組んできました。お口に悩みのある患者さまを一人でも多く救いたいと、2002年に松山で、2005年には東京銀座でも開業し、日本でも有数のインプラント治療実績を重ねてきました。奥歯や前歯のような部分のインプラント治療だけで4000本以上の埋入実績があります。また、あご全体のインプラント治療であるワンデイインプラントを考案し、この特殊な治療の手術を1000顎以上(手術件数通算1000顎×埋入平均5本=5000本以上)、合計すると1万本近いインプラント埋入を行ってきました。このあご全体のインプラント治療(ワンデイインプラント)において、日本のトップリーダーとしてまい進している経験豊富なインプラント外科専門医です。こうした治療の中には、難症例といわれる難しい症例も多く、綿密な準備と的確な手技でインプラント治療を可能にしてきました。また他院や大学病院などからも手術依頼を数多く受けており、その知識と技術で噛むことに困っている患者さまに満足のいく結果をもたらしています。そのDr.中平が、現在も故郷である今治でインプラント埋入手術を100%執刀しています。
静脈内鎮静法を希望された患者さまには、専門の歯科麻酔科医がDr.中平の手術に立ち会います。患者様の手術に対する不安感や恐怖心を取り除き、血圧や心拍をコントロールすることで落ち着いて手術が行われるようにサポートします。
インプラント治療を成功に導くためには、人工の歯(補綴)が患者さまのお口に適しているかが、一番大きな役割を担います。歯科医師は歯科技工士とともに力を合わせ、患者さまの希望にそった理想的な噛み合わせをつくり上げていきます。
徹底して安全を重視した
インプラント治療
患者さまの中には持病のある方もいらっしゃると思います。またご自分ではまだ気付かれていない病が隠れていることもあります。手術前の問診は念入りに行います。また患者さまの健康状態を血液検査等の数値で把握し、必要であれば患者さまのかかりつけの医院や内科と連絡を取り合って、安全に手術が行える状態であることを確認します。
当院で使用しているインプラントは、世界的にも信頼性の高いトップクラスのものです。信頼の置けるインプラントというのは、骨となじむ優れた「生体親和性」があったり、さまざまな状況であっても柔軟に対応ができたりと、安全に治療を進める上で欠かせない長所を有しているのです。
また手術で使用するものは、可能な限り1回使用の使い捨てにしており、感染のリスクを最小限にするよう努力しています。
将来を見越した
メンテナンスプログラム
インプラント治療を長持ちさせる秘訣は、治療後のメンテナンスです。本歯が入り、何でも食べられるようになったら、その状態を維持するために歯科医師と歯科衛生士による定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
当医院では6カ月~1年に一度、メンテナンスにお越しいただき、噛み合わせの状態や歯肉の健康状態のチェック、人工歯に破損がないか、人工歯をとめるねじに緩みがないかなどを確認します。またお口の中全体をクリーニングして、お口全体の健康をチェックします。
メンテナンスを受けることでトラブルを未然に防止し、インプラントを永く快適に使い続けることができます。