歯周病と全身の関わり|口の中の炎症が、体に及ぼすこと
[2026年08月03日]
歯周病は口の中の病気だと思われがちです。実際、歯ぐきが腫れる、歯が揺れるといった症状は口の中に現れます。しかし近年、それだけにとどまらない関わりが報告されるようになってきました。
歯ぐきの炎症は、体の中で起きている慢性的な炎症のひとつです。しかも面積で考えると、決して小さなものではありません。愛媛県今治市の中平歯科医院でも、この点をご説明する機会が増えています。
この記事では、どういう関わりが報告されているのかを整理します。ただし、歯周病を治せば全身の病気が治るという話ではありません。誇張せず、分かっている範囲でお伝えします。
目次
- 歯ぐきの炎症は、体の中の傷口です
- 糖尿病とは、双方向の関係です
- 飲み込む力が落ちたときに問題になります
- 手術や入院の前にも確認されます
- 誇張せずにお伝えします
- やることは変わりません
- 医科と歯科で、情報を共有します
- まとめ|口の中は、体とつながっています
1. 歯ぐきの炎症は、体の中の傷口です
歯周病が進んだ歯ぐきは、内側が潰瘍のような状態になっています。一本一本は小さくても、多くの歯に広がれば、合計の面積は手のひらほどになるとも言われます。そこが常に細菌にさらされ、炎症が続いているという状態です。
血管を通じてつながっています
炎症のある歯ぐきでは血管がもろくなり、細菌やその産物、炎症に関わる物質が血流に入り込みやすくなります。口の中だけで完結しない理由は、ここにあります。閉じた空間ではなく、体とつながっているということです。口の中を「別の場所」として扱わないほうがよい、というのが近年の考え方です。
▲ いずれも関連が報告されているもので、断定できるものではありません
2. 糖尿病とは、双方向の関係です
もっともはっきりしているのが糖尿病との関わりです。血糖が高い状態が続くと歯周病が進みやすくなり、逆に歯周病の炎症が続くと血糖の管理にも影響することが報告されています。片方だけを見ていては解決しにくい関係にあります。
だから、両方を並行して診ます
糖尿病で通院されている方には、歯科でも歯ぐきの状態を定期的に確認することをおすすめしています。逆に歯周病の治療が進まない方には、全身の状態を確認していただくようお願いすることがあります。必要に応じて、かかりつけの医師と連携します。糖尿病の検査値をお持ちいただけると、歯ぐきの状態と照らし合わせて説明しやすくなります。
▲ 片方だけを見ていては、解決しにくい関係です
3. 飲み込む力が落ちたときに問題になります
加齢などで飲み込む力が落ちてくると、食べ物や唾液が誤って気管に入ることがあります。このとき口の中の細菌が一緒に運ばれると、肺で炎症を起こすことがあります。誤嚥性肺炎と呼ばれ、高齢の方にとって注意すべき病気のひとつです。
口を清潔に保つこと自体が対策になります
誤嚥そのものを完全に防ぐことは難しいのですが、口の中の細菌を減らしておけば、入った場合の影響を小さくできます。歯が残っている方は歯みがきを、入れ歯の方は入れ歯と粘膜の清掃を続けてください。ご家族が手伝う場合の方法もお伝えできます。ご本人が難しくなってきた段階では、介助する側の負担が少ない方法を選ぶことも大切になります。
▲ 口の中の細菌を減らしておくことが、共通の土台になります
4. 手術や入院の前にも確認されます
心臓の手術やがんの治療など、大きな医療を受ける前に、歯科での確認を求められることがあります。口の中に感染源があると、治療中や治療後の感染につながる可能性があるためです。医科から紹介されて来られる方もいらっしゃいます。
事前に整えておくと安心です
予定されている手術がある場合、早めにご相談ください。治療に時間がかかる状態であれば、間に合わせるための計画が必要になります。直前になって見つかると、手術の日程に影響することもあります。治療の予定が決まった時点でご相談いただくのが、もっとも余裕をもって進められます。
▲ 当てはまる方は、定期的な確認をおすすめします
5. 誇張せずにお伝えします
歯周病を治せば全身の病気が治る、という説明を見かけることがありますが、そこまでのことは言えません。関連が報告されているというのは、因果関係が完全に証明されたという意味ではなく、研究が重ねられている段階のものも多く含まれます。
それでも、整えておく価値はあります
確実に言えるのは、口の中の炎症を放置してよい理由はないということです。歯を失えば食べる力が落ち、栄養に影響します。これは確かな話です。過度な期待を持っていただく必要はありませんが、後回しにする理由もありません。分からないことは分からないとお伝えしたうえで、確かなことから積み上げていく姿勢をとっています。
▲ 誇張せず、分かっている範囲でお伝えしています
6. やることは変わりません
全身との関わりを知っても、歯科で行うことが変わるわけではありません。検査で現状を把握し、歯石を取り、清掃が届くように整え、定期的に確認する。この積み重ねが基本です。特別な治療があるわけではありません。
ただし、優先順位は変わります
全身の状態に関わるとなれば、「そのうち行こう」という先延ばしの理由は弱くなります。とくに糖尿病で治療中の方、手術を控えている方、飲み込む力が落ちてきた方にとっては、優先度を上げて取り組んでいただきたいところです。
▲ 特別なことではなく、基本の積み重ねです
7. 医科と歯科で、情報を共有します
糖尿病の管理状況、服用中のお薬、手術の予定。こうした情報があると、歯科での判断がより正確になります。逆に、歯ぐきの状態を医科にお伝えすることが役に立つこともあります。必要に応じて書面でのやりとりを行います。
お薬手帳をお持ちください
ご来院の際は、お薬手帳をお持ちいただくのがいちばん確実です。血液をさらさらにする薬や骨に関わる薬は、歯科の処置に直接関わります。「関係ないだろう」と思われることでも、お伝えいただければと思います。
▲ 口の中から始まり、生活の範囲にまで及びます
まとめ|口の中は、体とつながっています
歯周病が進んだ歯ぐきは、内側が潰瘍のような状態になっています。一本ずつは小さくても、多くの歯に広がれば合計の面積は小さくありません。そこが常に細菌にさらされ、炎症が続いています。炎症のある歯ぐきでは血管がもろくなり、細菌やその産物が血流に入り込みやすくなります。
もっともはっきりしているのが糖尿病との関わりです。血糖が高いと歯周病が進みやすくなり、歯周病の炎症が続くと血糖の管理にも影響することが報告されています。また飲み込む力が落ちてきた方では、口の中の細菌が誤って肺に入ることで炎症を起こすことがあります。大きな手術の前に歯科での確認を求められるのも、感染源を減らすためです。
ただし、歯周病を治せば全身の病気が治るという話ではありません。関連が報告されているというのは、因果関係が完全に証明されたという意味ではないからです。確実に言えるのは、口の中の炎症を放置してよい理由はないということです。歯を失えば食べる力が落ち、栄養に影響します。検査と基本治療には保険が適用されます。進み方や影響には個人差がありますので、愛媛県今治市の中平歯科医院までご相談ください。
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出典・参考資料
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
- 公益社団法人 日本臨床歯周病学会
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療の経過・効果には個人差があります。詳しくは歯科医師にご相談ください。
